「菓子製造技能士」は、「技能検定」に合格した菓子製造業者に与えられる国家資格です。
「技能検定」とは、働く人の技能を一定の基準によって検定し、国が証明する制度で、1959年に実施されて以来、現在120を超える職種について実施されています。
資格を設けることによって、働く人の能力を高め、また、その技術力を社会に広め、理解してもらう目的もあります。
「菓子製造技能検定」を受検するためには、一定の年数の実務経験が必要です。
そのため、菓子製造業に就いてから受験するのが普通です。
働いて経験を積み、一定の技能を取得してから、さらに高い技能を身につけ認められるための目標のひとつと考えても良いでしょう。
「菓子製造技能検定」では、実技と筆記試験が行われます。
筆記試験では、関係法規などのほかに、菓子製造業者としての広い知識の有無が試されます。菓子だけではなく食品一般に関する知識、材料などを数値で示せる能力、製菓機械の使い方および性能の把握なども出題されます。
実技では、出来上がりの良さだけではなく、仕様書の理解度なども評価されます。
「菓子製造技能検定」では、菓子製造の技術だけではなく、その力を社会に示すことができる高いレベルの能力が必要となります。
「菓子製造技能士」には、「1級」と「2級」があります。
社会に出て働き始め、現場で経験を積んでいくと、専門職以外の事柄を忘れがちになり、菓子製造業者としての広い視野を保ちにくくなります。
菓子製造並びに食品産業の仕事に就いてから、自分の知識の拡充を図り、より高い能力を持つ職業人となるために、ステップアップの目標として、まず「2級」、次に「1級」とチャレンジしていくとよいでしょう。
また、実技と学科両方に合格すると「技能検定合格」となりますが、学科と実技のどちらかを先に受検することもできます。学科に合格してから、数年後に実技を受検することもできるので、自分のペースで取り組むことも可能です。
「技能検定」は、厚生労働大臣から委任された各都道府県知事が、各都道府県の「職業能力開発協会」に受検申請受付・試験の実施を委任しています。
1級、2級とも職業訓練歴や学歴による決まりがありますが、原則として実務経験が必要とされています。
※数字は経験年数
各都道府県の職業能力開発協会を通じて、都道府県知事宛に、手数料を納付し、申請します。なお、該当する場合には試験の免除を受けることができるので、詳細は各都道府県の職業能力開発協会に問い合わせを行います。
菓子製造の技能検定の実施時期は年度後期が通例ですが、変更される場合もあります。受付期間は実施の約2か月前からです。
申請時に必要な書類は以下の通りです。
A群=真偽法 B群=4肢択一法 計50問
10問=和・洋菓子共通……食品一般、菓子一般、関係法規、安全衛生
40問=選択作業別(和・洋菓子製造)……菓子製造、デザイン、包装保存、官能検査、製造計画
製菓衛生師免許保持者は願書申請時に学科免除の申請を行うとB群の中から5問が免除される
1級、2級とも、作業時間内に課題の1、2、3…と順に作業を行います。材料の仕込みから、指定の方法で行います。作業時間には標準時間と打切時間があり、打切時間は標準時間内に作業が完了しない場合の延長時間をいい、増すごとに減点となります。問題は試験日の約1か月前に公表されるので、事前に研究し、練習しておくことが必要です。